3/16,17開幕戦の機材インプレッション①

先日のレースレポートで書ききれなかった、開幕戦を走ったマシンのインプレッションを書いていきます。今回は、車体のみでウエアやシューズについては次回書きます。

今年は、バイクがディスクブレーキ仕様になったことをはじめ、機材がとても大きく刷新されました。昨シーズンと同じものはむしろ少ないくらいです。

・フレーム: スペシャライズド・Sワークス・ターマックディスク

こちらが、今年乗らせていただくバイク、スペシャライズド・ターマックディスクです。見た目は完全に真っ黒ですね(笑)

スペシャライズドのフレームを選んだ理由は、ツールド沖縄でVENGEに乗っている選手が脚を止めても進んでいく様子を目の当たりにして、その後試乗させてもらっても、とても進みが良かったからです。

平地でスピードが出るVENGEも魅力的でしたが、1台のバイクですべてのレースをこなすことを考えると、よりオールラウンドに走れるTARMACを選びました。TARMACもVENGEも、剛性としなやかさのバランスとエアロ性能までをここまで両立させたバイクで、ここまでの完成度のフレームは他のメーカーでも存在しないと思っています。

初めて使用するディスクブレーキについては、ロードレースなら、ほとんどの点で既存のリムブレーキのバイクを上回っていると感じます。今までのバイクは、クイックリリースという細い軸で車輪を固定していましたが、スルーアクスルになるとフレームとホイールの一体感が別物になります。そもそも、今まではクイックで固定したロードバイクにしか乗ったことがなかったので、それが普通であり、クイックでたわみが出ているなんて想像もしていませんでした。しかし、今のバイクに慣れてからクイックで固定したバイクに乗ると、ダンシングした時や、コーナーリング中に頼りなさを感じます。

油圧ブレーキなので少ない力でブレーキをかけられるのはもちろんですが、コーナーリング中にブレーキをかけたときにリムブレーキのような、ホイールやタイヤが局所的に変形している怖さもありません。(もちろん、コーナーリング中の急ブレーキは危険なのでやめてください)

リムブレーキのバイクの方が重宝される場面は、とにかく車体と人間の軽さが求められるヒルクライムかなと思います。今年は榛名山ヒルクライムや富士ヒルなどのヒルクライムレースにも参戦するので、重量の差がどのくらい影響するのか検証してみます。

・ホイール: ROVAL CLX50

昔からの私を知っている方にはお解りいただけると思いますが、そもそも、50ミリハイトのディープリムホイールを使うこと自体がほとんど初めてです。

今まで私が使ってきたホイールは、フルクラムのレーシングゼロと、カンパのユーラス…みたいなアルミホイールだけでした。なぜなら、ダンシングとコーナーリング中の安定感が、このタイプのホイールが一番優れていると感じていたからです。

しかし、スルーアクスルになってから安定感が良くなったのと相まってか、今まで感じていたディープリムたいする苦手意識は、このホイールに対して感じることがありません。ワイドリムになったことも安定感の向上に役立っていると思います。加速の良さと、スピードに乗ってからの速さの両方において、今までに使ったホイールの中で一番良いと感じます。

今後、リムハイトが低いROVALのCLX32も試しに使ってみたいと思います。

・コンポーネント: シマノデュラエースR9170 Di2

コンポーネントは、今までずっと11sになったばかりの頃のアルテグラを使っていましたが、一気にデュラエースの電動になりました。スペシャライズドのバイクの完成車には、スペシャライズドのギヤクランクが付いて来ますが、フロントギヤの変速性能を考えるとデュラエースにした方が良いというSBCのスタッフさん(紺野選手)の勧めにより、替えていただきました。

・サドル: スペシャライズド・TUPE

サドルは、2013年からずっと使ってきたセライタリアのフライトから、スペシャライズドのTUPEに変更しました。SBCのお店で手に取ったとき、これなら自分の身体に合いそうだと思い、迷わず選びました。股ズレしないといった快適性も力の入りやすさも今までより良くなりました。

・ハンドル: スペシャライズド・Sワークス・シャローベンドカーボン(400mm)

ハンドルの形状については、バイクフィッティングのお客様ともよく話をしますが、日本人の身長・手の長さ・脊柱の柔軟性を考えるとコンパクトなショートリーチでドロップも浅めのものが多くの方に合っているように思います。それは、自分についても同じことが言えます。オーソドックスなセッティングとも言えますが、このハンドルはどこを握ってもしっくりくるという印象です。

・ステム: ベネフィット社オリジナル(105mm)

ブラケット位置を変えずに、ハンドルの遠さを微調整したいので、ステムは5ミリ刻みで調整ができるベネフィット社のオリジナルステムを使用しています。置いてあるショップさんはそこまで多くないと思いますが、茨城県土浦市のWINDYさんで手に入ります。ポジションに妥協したくないという人にはおススメです。

・タイヤ: IRC ASPITE WET 24C

昨年の夏まではコンチネンタルのGP4000を使用していましたが、8月頃からIRCのフォーミュラプロ23C(チューブレス)とASPITEウェットを使うようになりました。結局、ASPITEの方が気に入ってずっと使い続けました。完成車ではスペシャライズドの26Cのタイヤが付いてきましたが、濡れた路面のコーナーでもグリップし、ペダルを踏み込んだときにしっかり地面を噛んで加速してくれるIRCタイヤを選びました。

・パワーメーター: STAGES

今シーズンから、パワーメーターはSTAGESを選択しました。見た目がとてもコンパクトで、軽く、そしてコストパフォーマンスに優れているのが魅力でした。

以前は、パワーデータが安定しない、水をかけると壊れやすいといった評価もあったSTAGESですが、今年のモデルから大きく改良が加えられ、そして代理店もインターテック社に変わりました。現状、使っている限りではパワーデータは非常に安定しており、洗車で水をかけたり、雨の日に走っても問題なく使えています。BluetoothでもANT+でもコンピュータに接続できます。

・サイクルコンピュータ: wahoo ELEMENT BOLT

こちらも、今年初めて使い始めた機材です。画面の表示項目などは、Bluetoothで接続したスマートフォンから行うという、超ハイテクな感じのサイクルコンピュータです。機能がとても多いのでまだ使いこなしきれていませんが、徐々に覚えていこうと思います。

【インプレッションの視点について】

ご紹介した機材の中には提供を受けて使用しているものもありますが、私の場合は、機材をチームで指定されて自分では選べない「プロ選手」とは違います。自分が本当に良いと思うものを選んで、フォローして下さっている方々に、機材選びのための有益な情報を提供して行ければと思っています。

【最後に】

自転車の車体を組んでいく上で、重要なのは、どのメーカーのどのグレードのものを選ぶか…というだけではありません。機材のメンテナンスや修理を全部自分でやるというのは困難なので、「どのショップで購入するか」が大切なポイントになってきます。

開幕戦では、レース直前にフロントギヤやスプロケットを交換しましたが、スタート前にSBC湘南藤沢店のスタッフでチームメイトの紺野選手が変速の調整をしてくれました。お陰で、レース中の変速はとてもスムーズで助かりました。ツールド沖縄市民210㎞優勝というレーサーとしての実績だけでなく、メカニックとしても彼は本物です。機材選びに関しても、彼のアドバイスはとても的確で、いつも助けられています。

こういった、自分に合った機材を選んで、それを大切に維持していくには、知識と技術を兼ね備えたショップを選ぶことも重要になってきますね。

それでは次回、車体以外のインプレッションに続きます。


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